陶器はカビが生えやすいのは本当?その理由や除去方法を解説
陶器にカビが生えやすい理由と除去方法について
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茶器に花器、土鍋や急須など、日本人の生活や文化に深く根付いている陶器。使い込むほどに味わいが増し、愛着が湧きやすい性質もありますが、長年使い込むには相応の手入れが必要です。特に気にしなければならないのがカビ対策。陶器は磁器に比べてカビが生えやすく、大事にしまっておいた陶器にカビが生えてしまった、などというお話も少なくありません。なぜ陶器はカビが生えやすいのでしょうか?それは陶器の素地の性質に理由があります。今回はこの理由について詳しく解説していきます。長い間連れ添ってきた陶器とこれからも一緒に過ごしたいと考えている方、ぜひ最後までぜひお付き合いください!
目次
陶器にカビが生える理由
なぜ陶器はカビが生えやすいのか、それは陶器の吸水性の良さが原因です。陶器の原料となる陶土は粘土質の土で、多孔質です。多孔質な性質の陶土を成型し焼き上げた陶器には、たくさんの気泡ができます。この気泡が陶器の吸水性の良さの原因になります。たくさんの気泡に入り込んだ水分は中に入り込んでしまっているので、そう簡単には乾きません。表面が乾いているように見えても、実は完全には乾いていないことも多いのです。この状態で押し入れなどにしまってしまうとカビが生えてしまいます。気泡が多いことによる吸水性の良さ、乾燥の難しさが陶器にカビが生えやすい理由です。
陶器に生えたカビの除去方法
陶器にカビが生えてしまった場合、対応方法はいくつかありますが、陶器の性質をしっかり理解したうえで対応しないと強度劣化の原因になってしまいます。具体的な対応方法をご紹介します。
1.食器洗剤とスポンジ
食器洗剤とスポンジを利用して洗い流すことができます。亀の子束子のような硬いブラシは陶器をキズつけてしまうのであまりおすすめできません。洗い終わったら水分をしっかり拭き取り、乾燥させましょう。乾燥が中途半端だと、再びカビが発生してしまう恐れがあります。
2.酸素系漂白剤
カビは陶器の表面だけでなく、中にまで浸透している可能性もあります。しっかりカビを退治したいのであれば酸素系漂白剤の使用がおすすめです。
1.表面のカビを拭き取る。
2.酸素系漂白剤を40度~50度のお湯で割り、そこに陶器を付ける。
3.30分ほど付け込んだら十分に洗い流してからしっかり乾燥させる。
酸素系漂白剤はお湯で割ると殺菌効果が増します。こうすることにより中に浸透したカビも除去することが可能です。
3.煮沸
カビは50度以上のお湯で死滅します。陶器の中に浸透したカビを除去するのであれば煮沸するのも一つの方法です。
1.表面についたカビをキッチンペーパーやブラシなどで拭き取る。
2.陶器が入る鍋にお湯を沸かし、その中に陶器を入れて10分ほど煮沸する。
3.鍋から陶器を取り出し、水分をしっかり拭き取って乾燥させる。
さらに殺菌力を足したいのであればお酢や重曹を入れましょう。あまり時間をかけすぎると、吸水性の高い陶器は強度が落ちてしまうので注意してください。
お湯が容器に触れたり注ぎ始めたところから温度はどんどん下がるので60度以上のお湯を使うのがいいでしょう。
カビ防止のポイント
吸水性の高い陶器をカビから守るにはしっかり乾燥させることが重要です。陶器の吸水性を軽減する方法と合わせて、ご紹介します。
1.乾燥
使用後は水分をしっかり拭き取り、乾燥させることがカビ防止の一番の方法です。吸水性の高い陶器は表面が乾いていても、中に浸透した水分が乾ききっていないこともしばしばです。時間をかけてしっかり乾燥させるようにしましょう。
2.湿気対策
湿気の多い押入れや戸棚に陶器をしまう場合は、湿気対策をしっかりおこないましょう。押入れや戸棚には必ず乾燥剤を入れてください。陶器には布を巻き付けてからしまったり、新聞紙を敷いたり、それだけでも湿気防止になります。どのやりかたも湿気除去剤が水分でいっぱいになる前に交換しましょう。
3.目止め
目止めとは、米の研ぎ汁や小麦粉を溶かした水を沸騰させたのち、陶器を入れて一定時間煮込み、陶器の表面にある細かな穴をふさぐ方法です。新しく購入した陶器を使用する前に、あらかじめ目止めを行うことによって、陶器の吸水性を抑え、劣化を防げます。吸水性を軽減することにより、カビ防止にも効果が期待できます。最近ではこの方法はあまり使われていませんが試してみるのもいいでしょう。この場合も湿気対策は行ってください。
手入れの徹底とカビ発生防止
陶器は吸水性が高いがゆえに、カビが生えやすい焼き物です。ですが乾燥を徹底し、湿気対策をしっかり行えばカビの発生は防げます。やむなく生えてしまったカビも取り除くことはできますが注意が必要です。陶器の中でも備前焼は長年に渡り使い込むほど味わいが増します。そんな陶器に愛着がわくのも無理はありません。長年一緒に連れ添ってきた陶器と末永く一緒にいるためにも、カビ防止対策はしっかりおこなってください!