末石窯 「末石窯」では備前焼の伝統を守りながら、現代の流行に合わせて進化した作品を取り揃えております。

備前焼の手入れとは? 味が出る使い方と長持ちの秘訣

備前焼

 

備前焼の手入れとは? 味が出る使い方と長持ちの秘訣

 

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見た目にもなめらかな質感と、深みのある落ち着いた趣の備前焼は素敵ですよね。

 

こうした備前焼は、焼き上がった最初から出てくる味わいではありません。手をかけて使っていくうちに年数をかけてようやく出てくる美しさで、それなりの手入れが必要になってきます。

 

また、備前焼はその丈夫さや、独特な触り心地で人気がありますが、いくら丈夫といっても使い方や手入れの方法には、ちょっとした気配りが必要です。

 

大切に使うことで何代にわたって使い続けることができますから、艶のでる手入れ方法と長持ちさせる秘訣を知って、美しい備前焼を保ち続けましょう。

 

 

エイジングを生かした手入れ方法

 

年数が経つほどに、なめらかな艶が出てくるのが備前焼の特徴ですから、「エイジング効果」を生かしたお手入れ法は、ぜひ知っておきたいですよね。

 

やすりはかけないで

 

備前焼の特徴でもある、凸凹やザラザラの質感をすべすべにしようとして、やすりなどで擦ってしまわないように。やりすぎると内側の土が出てきて余計ザラザラになったり、欠けてしまうこともあるので、備前焼にやすりをかけることは避けましょう。
 
そんなことをしなくても毎日使っていると自然とすべすべになってきます。もし、どうしても気になるところがあったら、その場所だけ削るように集中してやってください。

 

 

凸凹溝の油や汚れはきれいに

 

備前焼は、凸凹した溝に油分や汚れがたまってしまうことが多く、そこは定期的に掃除の必要があります。

 

特別な薬品や道具は必要ありません。常温の水を入れた大き目の鍋に備前焼を入れて、ゆっくり沸騰するまで温度を上げていきます。こうして頑固な汚れを取り除き、殺菌することができます。

 

使っているうちにつく茶渋やコーヒーの染みは、ごく薄めた漂白剤できれいにすることができますよ。

 

 

特に備前焼の使い始めに注意したいこと

 

備前焼は釉薬を使わないので、ガラスコーティングしていない状態です。

 

ですから、はじめは表面についたザラザラとした研磨後のカスや、薪の灰が気になることがあります。作品の艶を出すために椿油やオリーブオイル、製菓機械用油などを薄く表面に塗っているお店もあるので、使いはじめはスポンジなどでしっかり洗ってから、使用するようにしてください。
めだかなどの魚を飼育する場合には油とそれを落とすために使用した洗剤が落ちたかどうかはよく確認してから使うことをおすすめします。

 

ザラザラした表面には油分や汚れ、水分が入り込みやすく、コップや深い茶碗だと手を入れて洗いにくいので、使いはじめの数か月は使用前に30分ほどきれいな水につけておくと、汚れや水分が落ちやすくなります。

 

他の食器と同じように食器洗剤を使用しても大丈夫ですが、食洗器や乾燥機は使わずに自然に乾かすことをおすすめします。
温度的には食洗器の温度は問題ありませんが、かごを引き出す時や水流で揺れるときなどに隣の食器に接触して壊してしまう恐れがあります。

 

 

備前焼の長持ちさせる使い方とは

 

備前焼は、衝撃を与えたり急激に加熱したり冷やしたりしない限り割れる心配はいりません。料理を盛りつけたお皿にラップをかけ、冷蔵庫に保管することもできますが、電子レンジ、ガスコンロ、IH、直火での使用はひび割れや割れる原因になります。

 

 

また、梅雨の時期などは湿気によって備前焼がカビたりすることもあるので、梅雨時は特にしっかりと乾かし、乾燥材を入れておくこともおすすめします。
食器棚に新聞紙を敷いておくだけでも効果はあります。百円均一などにある専用のシートを使うのもおすすめです。
重ねるときに欠けないかが気になる方は食器と食器の間に新聞紙などを挟んだりもします。
 

 

古い備前焼を手に入れた場合

 

断捨離をしたご家族などから古い備前焼をもらった。オークションサイトで古備前を買ったなど。
使っていない期間がどれくらいあるのかわからない場合や匂いが気になる場合などは普通に洗うだけでなく消毒することをおすすめします。
 

この方法はノロウイルスの感染予防にも使われていて、新型コロナウイルスの対策としても期待されています。とはいえ新型コロナはまだまだ未知の世界なのでそこは参考程度に。

 

食器の消毒方法

5リットルの水に50ミリリットルの塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を混ぜたものに約2分つけおきした後、充分な水ですすいでから、食器洗剤をつけてしっかり洗います。

漂白したい場合はつけおき時間を約30分にします。

 

塩素系漂白剤を使う場合の注意点手袋をする・換気をしっかりする・酸性の洗剤と混ぜない・衣類に付けないなどお手持ちの洗剤の注意事項をよく確認してください。
つけて放置する時間があるので、お子様やペットが触らない場所やいない時間に行ってください。

 

 

欠けてしまったらどうするか

 

大事に使ってきたけど、もし欠けてしまったらどうするか?
これはたまにお客様に質問されます。
ふちが欠けた湯呑・真っ二つに割れた茶碗・水が漏れてきた小鉢などの再生方法・再利用方法をご紹介します。

 

ふちが少し欠けた場合

口を切ったりそれ以上欠けたりしないようにサンドペーパーや砥石で欠けた部分の角を丸くします。
そのまま使ってもいいですし、金継ぎをして金や銀で華やかに飾ってもいいでしょう。
※金継ぎとは陶器の破損部分を漆を使って引っ付けたり埋めたりする修復技法です。

 
 
真っ二つに割れた場合食器なら金継ぎをおすすめします。その場合、漆の扱いは非常に難しいので材料はネットでも買えますが、プロにお願いした方がいいでしょう。
季節によって変わる硬化時間の見極めや皮膚がかぶれる心配があり初心者が簡単にできる技術ではありません。
 
植木鉢など外で使う大きいものはコーキングやコンクリートボンドなど耐水耐熱の接着剤を使用してくっつけます。
 
 

水が漏れるようになった場合米のとぎ汁やおかゆと一緒に煮るという方法が昔からありますが、おすすめなのは食器用の水漏れ防止処理剤を必要な個所に塗布して説明書通りに乾燥させる方法です。
無臭性で安全も確認されていますが、食器に科学的な物を塗りたくないという方は、植木鉢や物入として全く違う用途に使う方がいいと思います。
備前焼は草木と非常に相性がいいので、エクステリアとして花の側に転がしておくだけでも雰囲気が出ます。

 

 

急激な温度変化に一番気を付けて

 

とても頑丈で機能性に優れている備前焼は人気のある焼き物です。しかも手入れは基本的には簡単で、少し気を配るだけで長年使えて、年を経るごとに艶と味わいが増します。

 

ぜひとも普段の生活で使ってみたい備前焼ですが、急激な温度の変化がひび割れや劣化の一番の原因になるので、極度に熱すぎる物や、冷たすぎる物を入れることは控えましょう。

 

備前焼は使えば使うほど手に馴染んでなめらかになり、色も深くなってきます。気に入って購入した備前焼は、適切にお手入れしてエイジング効果を待ちたいですね。

 

 

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